明確な同意を取り、患者の意思や感情を尊重するーーフランスの産婦人科受診レポート

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SNSでたびたび話題になる産婦人科での経験。産婦人科のシステムは、国によっても大きく異なります。

今回は、フランスでの産婦人科体験をツイートでつぶやいたことをきっかけに、ご依頼をいただき、産婦人科にかかった経験を記すことになりました。

普段は産婦人科健診などが苦手であまり産婦人科には行かないようにしていたのですが、半年前に頭痛がひどかったためにピルをやめたところ、生理痛がひどくなったため相談に行きました。

今回通院してみて私が感じた日本の産婦人科医療との大きな違いは、次の5点です。

①説明がとても丁寧で細かいこと

②同意を取るというステップがあること

③検査や治療の方法は最終的には患者本人が決めるということ

④診察と検査を別の人が担当することで治療方針などが偏りすぎないこと

⑤痛みや心理的負担を少なくする努力がされていること

上記について、実際の検診の流れとともにご紹介します。

1.フランスの産婦人科のシステム

フランスでは、産婦人科医か助産師(sage-femme)のどちらかで予約を取ります。

産婦人科医の方は予約が取りにくいことがあるため、私は助産師で予約を取りました。助産師も、産婦人科医とほぼ同じことをする資格があり、避妊相談や妊娠検査、婦人科系の病気の相談などができます。

いつも産婦人科は女性医師を探して行っているのですが、助産師はほとんどが女性のため予約も取りやすくとても便利でした。

2.予約日当日

予約日に病院へ行き、受付を済ませると、助産師の部屋に通されます。

助産師とは、1対1で話をします。思い当たる病気が一つあったので、その心配があることを伝え、話を聞いてもらいました。問診票などはなく、助産師の質問に答えるように順番に話して行きます。その結果、エコーで腹部を見る必要があることがわかりました。

ここで一つ、日本と違うフランス独特の医療システムがあります。

エコーやレントゲンなどの検査が必要になると、医師の処方箋を持って検査が可能な医療施設に行く必要があるのです。たまに検査も同時にできる病院があるのですが、少ないためなかなか予約が取れなかったり、家から近い場所では見つけづらいです。

これは私がフランスの医療システムで不便だなと思うことの一つです。しかし、いい点もあり、それは後ほど記したいと思います。

この日は内診もなく、処方箋をもらい終了。診察料はすべて健康保険と任意保険でカバーされたため支払いはなしでした。支払いがあっても25ユーロです。

3.エコーを撮りに行く

実は、私はエコーに関してあるトラウマ経験があります。

数年前に医師から下腹部エコーを撮ってくるように指示が出たので、撮りに行きました。腹部の肌の上から撮る予定だったので、女性技師にこだわらず、エコー専門の医療機関に予約したのですが、いざ腹部からエコーを撮ってみたところ子宮や卵巣が写らず、経膣に変更すると突然言われたのです。

もし経膣と知っていたら女性技師を探して依頼していたし、心の準備もできていなかったので、やりたくない、と答えたところその男性技師が激怒し、確認できなかったのに「異常なし」と書いた結果を適当に突きつけられました。

私はそこでパニックを起こし、その経験がトラウマになり、それからエコーを数年間避けていたのです。

そのため、予約する前に細かく調べ、信用できる医療機関を探しました。

その結果、今回はエコーを撮れる助産師の予約を取ることに決めました。トラウマに関しても事前に説明をし、「絶対に大丈夫だから安心してきてください」と言っていただき、大きな不安もなく行くことができました。

予約当日に助産師の事務所に行くと、待合室に問診票が置いてありました。こちらの助産師事務所には受付はなく、待合室で時間まで待ちます。フランスの病院はこのシステムのところが多く、受付で来た理由や症状を話す必要もないので私は気に入っています。

問診票では日本の産婦人科と同じような内容の質問に答えます。アレルギーや服用している薬、遺伝性の病気や初経の年齢、妊娠の希望有無などを細かく記入しました。

私の番になり、助産師に呼ばれ1対1で話をします。痛みがあるなど私の症状を説明し、それに対してどのような病気が考えられるか、またどのような治療法があるかなどまでとても細かい説明がなされ、エコーを撮るだけだと思っていたので正直少しびっくりしました。

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そして、いよいよエコーを撮ります。

その際、「今話したことは全部理解できましたか? 質問はありますか? 話をすべて聞いて、大丈夫であればエコーを撮りますがどうですか?」とはっきり聞かれます。最後の「大丈夫ですか?」に関して、フランス語で「Sivousêtesdʼaccord…」という表現を使っていたのですが、私はこの表現ではっきりと「同意を取られている」と感じました。

これは私にとっては少しびっくりすることでもあり、そしてとても嬉しいことでした。日本の産婦人科ではあまり聞かれることがないからです。機械的に必要な検査を順番に流れ作業的にされる印象が強かったからです。途中で突然誰かわからない看護師が出てきたり、いつも次に何をされるのかわからず不安でした。

「大丈夫です!」と答えると、エコー検査の診察台に案内されました。助産師は場所を整えながらカーテンを閉め、外から中が見えないように配慮してくれました。下着を脱ぎ、スカートはそのままでいいと言われたので、穿いたまま診察台に座りました。

まず、その時点で日本と違ったのが、医師と自分の位置関係です。

日本では、いつも足を広げるようになっている診察台で腰のあたりにカーテンがあり、足元の方に医師がいる位置関係でしたが、フランスでは腰のカーテンはなく、腹部に大きいシートのような紙を掛けられ、助産師が私の横にいる状況でした。

日本のシステムだと医師が何をしているのか、自分の足元に誰がいるのかが分からず、また自分の意思と無関係に足を広げられる椅子がとても怖くて不快だったことを思い出しました。こちらでは助産師の他には誰もおらず、また助産師が自分の側にいるので、とても安心できました。

そして、これが一番びっくりしたことですが、経腟のエコーの機械にジェルをつけ、「自分で入れますか?」と聞かれたのです。産婦人科の検査で冷たい器具をぐっと入れられ、痛くて不快な思いをしたことが何度もあるので、自分のタイミングで自分で入れていいなんて!とびっくりしました。

自分で入れさせてもらうことにし、助産師がコードの部分を支えていてくれたので難しいこともなく、すんなり挿入することができました。全く痛みはなく、また自分のタイミングで入れているのでひんやりした感覚にびっくりすることもなく、スムーズでした。

エコー検査が始まってからは大きなモニターで画像を一緒に確認しながら細かくなにが映っているかを丁寧に説明してくれました。

最後に必要な画像を20枚ほど印刷して資料として受け取り、終了。この資料にはエコーの画像だけではなく、助産師の診断も書いてありました。

この資料を持って後日、最初の助産師のところへ行き、結果を見せて診察を受けます。こちらの会計は検査だったので少し高く、90ユーロでした。後日保険で80パーセントほど戻ってきます。

4.再診察

エコー検査の後は最初にエコーの処方箋を書いた医師・助産師のところに再度行って治療を開始します。

もうすでにエコーの資料がまとまっていたため、そこで治療法を決めてもらいました。私は事前にどのような治療法があるかを少し調べていたので、助産師が示した以外のオプションがあるか詳しく聞き、どのようなメリットとデメリットがあるかを説明してもらいました。

1回目と同じく会計はなく、全て保険でカバーされました。出してもらった処方箋を持って薬局で薬を受け取ります。

以上が今回フランスで産婦人科を受診した大体の流れです。

課題の多い日本の婦人科で、安心して診察を受けるために

フランスの医療システムのデメリットは、診察と検査が同じ医療機関でできないことです。日本だったら大体1回で終わる診察と検査が今回の場合3回に分かれてしまい、保険が効いたとはいえその分医療費もかかります。

しかし、心理的な負担やストレスは日本に比べてフランスでの方が圧倒的に少なく、つい後回しにしてしまいがちな産婦人科健診なども行きやすいと感じました。

もちろん、日本とフランスそれぞれ、医療機関や医師・助産師によっても受ける印象や心理的負担はかなり大きく異なると思いますし、個人的な経験、また健康状態にも左右されると思います。

しかし、例えば検査での麻酔の使用を日本の産婦人科ではほとんど提案してもらえなかったり、たとえ選択肢にあっても保険が効かなかったり、色々と課題が多いのも事実です。

そのような中で、外国ではどのように産婦人科での診察、検査が行われているかを知ることで、日本の女性たちも自分たちが安心して医療機関にかかるために何が必要で、どう訴えていったらいいか、その参考になれば嬉しいです。

執筆=Yuka

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