私が作品をSNSにアップし始めるまで…「私たちが最高で、家父長制がおかしい!」

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ハ〜イ、私はとれたてクラブ。私は現在、ジェンダーやフェミニズムを題材にした写真撮影、漫画制作などを行い、SNSにUP中よ。

※この記事には筆者がかつて実際に受けた性差別や性被害についての記述があります。トラウマやフラッシュバックからご自身を守りながら、無理せずご覧ください。

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写真の構図や漫画の人物の衣装などは、k-popのカムバックの際に出されるビジュアルや、Twitter上のk-popコミュニティで流行しているクィアなミームに影響を受けているよ。現在は小田急線内での女性嫌悪による刺傷事件を機に、友人とInstagramで女性差別へ抗議するハッシュタグ運動 #ikinokotta を立ち上げ、運営に携わっています。

私は今でこそフェミニストギャルとして、周囲の心の許せるギャルとケアし合いながら家父長制にメンチを切っているが、少し前までは政治的な意見を口に出せなかった。私は女性差別を受けながらも、ホモソーシャルに迎合して生きてきた。作品へ寄せられた感想を読むたびに、「私の痛みはあなたの痛みだった」と感じる。私の制作までの道筋が、これを読んだ方に寄り添うものであることを願う。

私の地元は性別分業が色濃い田舎だ。クィアという概念すら存在しない。家族全員が保守派で、家中に自民党のポスターが貼ってある。祖父母やその友人は政策内容ではなく、人付き合いから投票先を選んでいた。右寄りの父と、娘を自分の人生の延長だと捉える母から、彼らなりの愛情を注がれながら、金銭的に不自由なく育った。

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幼い頃は漫画家になりたく、それを家族に伝えると数時間説教され、漫画家以外の進路を口にするまで許されなかった。希望や不快感を伝えると否定され、伝えるのも億劫になっていった。学校でも、いじめや理不尽な校則が横行しており、諦める習慣がついた。いつしか傷つく前に折れることを覚え、自ら「有名大に入り/サークルで青春し/大企業に就職/彼氏と結婚/出産/毎月7万の貯金/家を買い/子育てが終わったら趣味で漫画を描くよ」と言うようになった。それが一番攻撃されず、家族を笑顔にする人生設計だった。「美大に行き漫画家になりたい」というシンプルな夢は、こじれた末にないものになった。

有名大学に入るために通った塾の先生は、「女は馬鹿のふりした方がいい」と言った。大学のサークルでは、私を見るたびブスと言う男性の先輩がいた。サークル内では、彼氏がいる女性は性的価値があり、いない女性は容姿や性格を品評していいと考えられていた。私も彼らの基準に則り、女性をジャッジした。

結局サークルを辞めたが、私の外見が劣っているため性的価値がないという焦りだけが残った。性的価値がなければ結婚できない、結婚できなければ家父長制下で生存できない、と思い込んでいた。自分の性的価値を証明しようと、マッチングアプリを使用し、複数名と合意のもと性行為をした。しかし強姦未遂もされ、そのことを友人に話すと「家に着いてくるのを許したお前が悪い」と言われた。

それ以来、複数の性被害に遭った。私は加害者に抵抗しなければ良い評価を受け、拒否すれば侮辱された。そして毎回、「性対象として見られてよかった」とセカンドレイプを受けた。私は防衛のため、性被害を恋愛、セカンドレイプを恋バナとして捉えるよう、認知を歪めた。加害者に依存したこともあった。被害のひとつにデートドラッグレイプがあったが、被害を放置してしまい、しばらくして加害者が逮捕された。自分が告発しなかったせいで次の被害者が生まれたと考え、二度と自分を誇れることはないと思った。

その後男性と交際するようになると、彼氏がいるというだけで、私の生活はマシになった。家族は喜んだが、次は結婚、出産と求められた。私も幸せを感じ、彼にマッチングアプリのことを打ち明けた。すると性的にふしだらな女だと拒絶され、自分は恥ずかしい存在だという意識が生まれた。

大学卒業後は親の望んだ公務員となった。職場ではセクハラが横行しており、お茶汲みは女性の仕事、飲み会を断った職員は噂され、男性が職務中に性的な話や、レイシズム、ホモフォビアの話で盛り上がっていた。社内アンケートで訴えたが改善されず、盗撮被害者を揶揄する話題が出てからは、私自身が写真を撮られた被害がフラッシュバックするようになった。

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交際者と別れた頃、Nizi Projectが話題になっており、同時期にカムバックしていた男性アイドルグループ、Stray Kidsを知った。

初めてStray Kidsを観たとき、同じ地球上の人類だとは思えなかった。あまりにも、自分が経験した「男性」とは違う。私は「女性を品評し加害するのが一般的な男性のライン」だと受け入れていた。男性であれば、加害しないというだけでありがたく、過剰に誉めなければいけないと思っていた。(実際Nizi Project視聴中、審査員のパク・ジニョン氏を、未成年の女性の体型を評価するにも関わらず「良い人」と認識していた。)

彼らはパフォーマンスの出来から評価を受け、いかに女性を獲得したかでは評価されない。クィアフレンドリーな発言をし、メンバー同士ケアして、甘え合う。有害な男らしさに興味がないどころか、ディーバネスが全開。

彼らの姿は理想どころか、想像もできなかった姿だ。期待しても安全だという感覚は、自己肯定に繋がった。他者への理想の押し付けは、暴力的な側面を含む。しかし諦めていた希望をアイドルが体現する姿を通じ、自分を愛せるようになったファンも多いのではないか。

ファンになれた自分も捨てたもんじゃない、昨日までの自分が恥ずかしくても、今からはファンとして誇れる人生を送ろう、勉強不足な面があっても努力しよう、そう思った。彼らが生きる社会や未来を、少しでも良くしたくなった。

k-popの情報をtwitterで探すようになり、数百件のk-pop愛好家をフォローし、その方がフォローしているフェミニストもフォローした。タイムラインがアイドルと政治の情報で埋まり、ネットをする時間は安全を感じられるようになった。

私にとって女性やクィアギャルが、主体的に趣味を語り、政権を批判し、男性の目を気にせず差別に反対するというのは、初めての光景だった。少なくとも、生身で生きていた分には出会えなかったコミュニティだ。私より若い方も多く、発信力や人権意識の高さに驚いた。SNSで他者に依存することはマイナスに語られがちだが、画面の向こうにギャル達が生きている事実は、希望になった。

私はフェミニズムを知る前に戻れなくなった。職場で性差別緩和の事業を企画し、性別分業の問題点をプレゼンした。上司はプレゼン内容は無視し、私の企画を笑って流した。女性職員にセクハラの相談をすると、「今の子は我慢ができない」と言われた。先述のフラッシュバックも続き、退職を考えるようになった頃、うつ病の症状が現れた。

母はうつ病でボロボロになる私に、泣きながら謝った。家父長制下で生きるしかなかった母が、「彼氏・結婚・出産」を私に求めたのは、私を傷つけないためだった。

退職後、私はカウンセリングに通いはじめた。受診中、恐らく私以外の女性にも多く通じるだろうと感じた事実は、「怒らないと病気になる」というものだ。それまで私は、希望や不快感を伝えると挫かれる、被害を訴えても責められるという体験を繰り返し、他者と争わない中立の姿勢が染み付いていた。

怒らないことは、ノーガードでボコボコに殴られながら、自らの意思で治療を拒否するのと同じだ。私は怒ることを、女性蔑視社会で生きる上での最低限の健康維持、うつ病治療と位置付けた。アロマを焚きヨガをするのと同じように、抗議は「ご自愛」だった。

私の作品は怒りの表出だ。健康のために制作している。私の漫画を読んだ方はご存知かもしれないが、登場人物がやたらミーハーで、写真もインスタ映え命だ。「怒りをラブリーに昇華してて大好き♡」と感想をいただき幸せだが、政治がおしゃれである必要はない。私は体力がなく、長期的に怒るために、政治を身近に置くために、アゲなテンションを採用している。

怒りの先で動くのは政治だ。政治は私たちの健康と命を左右する。政治への意思は、与党議員のフルネームがわからなくても、決して失ってはいけない。声を出さないことで健康を奪われる可能性が、女性の日常には溢れている。政治はカフェで写真を撮りながら、ペンラをデコりながら、仕事中に、生理中に、ついでのように考えていい。

どうか少しでも多くの方が、自分を犠牲にしない声の上げ方を見つけてほしい。(手始めに#ikinokottaはおすすめだ。普段の写真+ハッシュタグ+ふせんだけで参加できる。)不安だったら女性同士手を繋いだり、疲れそうだったらおしゃれを挟んだり、意外と手はある。私はフェミニストになれた、カウンセリングに通えた、母が謝ってくれた、k-popコミュニティにいた…など、幸運が重なり声をあげることができた。「女性はもっと怒っていい」とよく言われるが、怒ることの有用性を説いても女性が怒れないのは、繰り返し怒りを挫かれてきたからだ。声を上げるのは安全を感じてからでいいし、自分が傷つかないための線引きを設けるのも大切だ。違和感を抱えた私達が先にくたばっては、元も子もない。「ついでに勇気を出してみる」を少しずつ行うと、安全圏が広がる。学習途中で起こしたアクションでも、成果は積み上がる。すべての差別に反対していても、そのすべてに反対を表明したり、説明できる必要もない。

あなたが最高で、差別するやつがおかしい。みんながフェミニストになれるための作品を、安全圏を、私も作るので、絶対一緒に生き残ろうね。

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執筆=とれたてクラブ

インターネットとフェミニズムに関する発信をするメディアです。